ネット副業に取り組むべく、自分で作った商品を売る方法を、ネットビジネスのコンサルを名乗る人に試しに聞いてみようということで、30万円程度を支払ってみた。

コピーライティング力、ストーリーの作り込みが抜群で、非常に綺麗な発信をしている人だった。前回も書いた通り、主にはワードプレスのブログで集客し、メルマガに登録させ、そこで関係性を作ってオファーをかけてくるという典型的なマーケティングである。その流れも美しく、実に巧みであった。
このコンサルを名乗る人物は、ネットビジネスの世界ではどうやら名の知れた人らしい。最近この手の自称コンサルに多いのだが、高学歴、一流企業を経てこの世界に入ってくるパターン。この人も例に漏れずその流れの人であった。
そういう人にありがちなパターンではあるのだが、かつて勤めていた企業についての悪口がバズり、ネットビジネスと言われる怪しげな世界でアクセス数を伸ばしてきたタイプである。まぁ、全く尊敬できるやり方では無いわけだが、そのやり方も戦略的にはよくわかるものだ。特に最近は世の中の流れとして、日本にはもはや経済的に明るい未来はほぼ無い中で、古いものをとにかく攻撃しようという風潮があるように思う。自分達が貧しいのは、古い既得権益のせいであるから、既得権益を持つ古いものは全部なくしてやれ。そう考える人達は一定数いるというのはよくわかる。そんな中で古巣であるという一流企業への悪口を発信すれば、多くの人の溜飲が下がるという分かりやすい戦略であろう。
理論的にはよくわかるのだが、要するに自分以外の何かを炎上させることで自分を利するというやり方である。炎上商法を少しずらした、遠隔炎上商法とでも言おうか。週刊誌が得意とする手法であって、世の中の人がみんな大好きなことも分かってはいるのだが、個人的には好きではないし、あまりやろうとも思わない。などと、あまり言い過ぎると自分も知らず知らずに、その人のことを非難することで自分を利するという、まさにそちらのダークサイドにいきそうなのでこの辺でやめにしよう。単純にそのやり方は好きではない。冷静に、何が起きたかだけを日記に記す。
オファーの中身としては、コンサルを受ける人、ひとりひとりにあったカリキュラムを作り、稼げるようになるまで面倒を見てくれる、そんな内容だった。まぁ、よくある話であるし、普段から本業でコンサルをしている身からすれば、本来であれば当たり前すぎる話であって強調すべきことでもない。恐らくは、ネットビジネスという世界においては、この当たり前が当たり前になっていないのであろう、と想像できる。きっと、まっとうにビジネスをしている人が少ないという裏返しなのだろうなと解釈した。
いざコンサルの面談をしてみると、自身がどうやって稼いでいるか、そのためにどうやるか、という説明があった。ところがその内容は、前回の日記で書いた通り、私が知っている内容であった。というか、普通に無料で入手できる情報であった。

さらに凄いのは、最後まで、個別のコンサルというのが実施されることは無かった点である。一人一人にあったカリキュラムを組んでくれるというオファーだったのだが、それが履行されることは無かったのだ。当然、稼げるようになるまで面倒を見てくれることも無かった。
これは、素晴らしい勉強になった。30万円というのは勉強代としては悪くないが、コンサルの価値としては結構ヤバい話である。本質的には、無料で手に入る情報を30万円で売っていて、しかも、一人一人に合ったコンサルをすると言っていたのに、そもそもコンサルすらしないのである。それでいてコピーライティングやストーリーテリングは素晴らしく上手い。まさしく、ハリボテのブランディングと言えるだろう。ネットビジネス界の割と有名とされている人でさえこれだというのが非常に勉強になった。こんなぬるい、というか真っ黒な仕事をしていたら、上場企業ならすぐクビになるだろう。能力的なクビだけでなく、懲戒によるクビのセンすら見えてくるレベルである。
これ、なんで誰も訴えないんだろう、と思い、弁護士の友人にも話してみたところ、「詐欺というのは相手を追い詰めるのがなかなか難しい」のだそうだ。これが明確な詐欺であるという証拠を自分で出さないといけないが、まともな契約書がある場合も少なく、相手も「詐欺でやっているつもりはなくて、本気で良いものだと思って売っているのだ」などと反論されるとかなり厳しい展開になるそう。なるほど、世の中から詐欺が無くならないわけだ。確かにこの自称コンサルは頭が良いだけあって、詐欺の証拠になりそうな部分を絶妙に残さず、何らかの逃げ道を完璧に確保しているように見える。よって、これは詐欺ではなく、詐欺まがいなのである。もっと別のところに頭を使えば良いのに。
この一件で、いろんなことが分かった。まず、ネット副業でコンテンツ販売をしようとする際の売り方については、特別な知識は何も必要ない。ちょっと勉強すれば手に入る、世の中の多くの人が知っているであろうマーケティング理論を応用するだけで良いということだ。また、商品開発については個人のオリジナリティが反映されるところだが、これも思いっきり普通の商品開発手順で大丈夫そうである。結局のところ、他人に言われた通りやるのではなくて、自分でやった方が遥かに良いんだろうな、という気持ちを強くした。
そうと分かれば、本業の知見を活かして、自分でネット副業のロードマップを書いていこう。取り組む前の、コンテンツ販売というもの自体についてのリサーチフェーズは、ここまで分かれば充分であろう。